//罪科
ほんの少しだけ温もりが欲しくて
引寄せた身体からはドクドクと鼓動が伝わった
ソレがとても嬉しくて
苦しくて
後少し
僕に後少しだけ…時間を下さい
「―っ…ぅ‥」
闇夜の一室に切ない声が木霊する
…まただ彼女が泣いている
泣いている原因は悪夢
そしてその悪夢を見させて居るのは他でもない自分自身
普段気丈な彼女が、満月の夜になるとこうして独り泣いている事にに気が付いたのは愚かにも最近になってからだ
とめど無く溢れ出る涙を拭う事しか自分には出来無くて
「―っ」
苦痛で顔が歪む
今夢の中で…僕は貴女の大切な人を殺している
…誰よりも優しい貴女を切り付けている
満月の夜が来る度に
何度も何度も
貴女を傷つけている
「…ゆやさん」
起こすには気が引けたけど、これ以上辛い貴女の姿を見たく無くて…いつもの’顔’で僕は貴女を起こした
「―っきょ…しろ?」
いつもとは比べ物にならない程の弱々しく掠れた声
胸が…痛んだ
「ごめん、起こした?ちょっと…嫌な夢みたの
寝汗で湿った髪を掻きながら微かに肩を震わせる
うつろな瞳は何処か遠くをみている様だった
「ゆやさ…」
「何でもないから」
罪悪感から掛けようとした言葉は俯いた侭はっきりと言い切った一言に遮られた
それは其れ以上踏み込んで欲しくないから?
向けられた笑顔は月明かりに反射してとても儚く、美しい
未だ涙は頬を伝うのに
泣いている事すら貴女は気が付かない
「−っ、」
耐えられなかった
無意識に延ばした腕は彼女を引寄せ抱き締めた
そっと頬に手を添え口付ける
重ねるだけの優しい接吻…
長く、深く…
「ん…っ…」
息苦しさに逃れようとする身体を、逃すまいと無意識に腕に力が入る
「痛…やっ、きょ…しろ」
その声、に漸く我に帰り唇を開放する
涙に濡れたその瞳はとても扇情的で
卑怯だと解っていてもその腕を緩める事が出来ない
ゆやさん…僕はもう、覚悟を決めているから
せめて其の時迄貴女の傍で笑う事を許して欲しい
そして貴女の手で、迷う事無く僕を殺してください
もう…悪夢を見ずに済むように
END
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雪子様大変お待たせしました。
京四郎ゆやのシリアスダ−ク+微エロとの事だったのですが、
すいません、書き終ってからエロを入れていない事に気が付きました…。
慌てて書き直したのですが、今度は押し倒すところまで行っちゃって(汗
無理矢理チュウで勘弁を…。シリアスは書いててめっさ楽しかったです
一様確認をしたら一言お知らせを入れて下さると嬉しいです。。
では、粗末なものですいません…(逃