//レクイエム




いつか一緒に見に来ようねって、約束した



「うわあ…すごい」

ぱたぱたと駆け寄り新緑の生い茂る桜の木を眺める。

「大きな木ですね。」

「うん。おっきい。」

何千年と年輪を重ねた大木に、ほたるも珍しく圧巻した。


「まだ…咲かないの?」

「まだ少し寒いですし…きっともう少ししたら満開になりますよ。」

くるっとほたるの方を向いてにっこりと微笑む
心まで温かくなれる…ほたるはその笑顔が大好きだった。

「出来れば満開の時をみんなで見たかったな…。」

旅を続けている以上、咲くまでこの町に居続ける事は出来ない。
その事がとても残念で仕方が無かった。


青々とした若葉が風に揺れ、舞いながら落ちる


其れを拾い上げ、ほたるはゆやに言った。

「じゃあまた見に来ようよ。来年でも再来年でも‥今度は咲いてる頃に。」

はい、と拾い上げた若葉を差し出しながらほたるは自分でも驚く位自然に微笑んだ
ゆやは少し驚いたがすぐに満開の笑顔で返した

『全て終わったら、絶対見に行きましょうね。』…と答えて。



二人でまだまだ咲かない桜の木を眺めながら、いつか一緒に見に行こうねって約束した


必ず叶うと信じていたから















鮮血が散る…。

目の前が真っ暗になる…。

痛みも怖さも何も感じない…。



ただ、あの人の笑顔だけが脳裏に焼きついて離れない。



「…‥る‥さ‥。」



もう、名前を呼ぶ事も出来ない






  …るさん




  ほたるさん







約束守れなくてごめんなさい…。









あの日繋いだ手の温もりは…決して忘れないから




END

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先週のマガジンの例のあのシ-ンです。
ゆやたんが好きなのは鬼眼でなくほたるんだと意地でも主張し続けたい自分。


2004・7/13









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