//酒酔


「気持ち悪…」

ふらふらと廊下を壁伝いに歩き、自分の部屋を目指す

身体はほてって顔も赤く染まっている

だか風邪をひいた訳でも逆上せた訳でも無い

ゆやはあまりの気持ち悪さに耐えきれ無くなりとうとうその場にしゃがみ込んでしまった
そして恨めしげに先程の行動を思い返す


「うぅ…お酒なんて飲むんじゃなかった」

梅雨にはいり、昼間は春の様な暖かさも夜はぐっと冷え込む毎日。特に今日は雨粒も手伝いより一層冷え込んだ
薄布団一枚ではさすがに寒く、どうしようかと考えていた所でふとゆやの眼に飛び込んだ一本の酒瓶…。


”酒を飲むと身体が暖まる”


そんな雑学を思いだし、寒さを凌ぎたい一心で試したのがいけなかった


最初の内は唯苦いとしか思っていなかったが飲んで行く内に胸の辺りがじんわりと温かくなって行った。
と、同時に激しい嘔吐感が湧き上がる
気が付けば立っていられない程の酔いが回っていた。



ずるずると身体を引きずりながら部屋に入りその侭布団にダイブ

酔いも手伝いぐっすりと眠り込んだ。


それから約半時




「…」

明らかに異様な顔をした男が部屋の前に突っ立った侭呆然と中を眺める
室内には微かな寝息をたてて眠るゆやの姿…


「…此処俺の部屋だよね…。」

部屋の名を確認しながら此処に居る筈の無い少女に言葉を失うほたる

「…なんか酒臭いし。」

部屋に入るとゆやの髪に鼻を近付けくんくんと嗅いでみる


「…飲んだかも」

顔を覗き込む

なるほど、確かに頬が赤く染まり微かに酒気を帯びている

そのせいで自分と部屋を間違えてしまったのだろうと彼なりに理解した


熟睡している彼女を起こす気は自分には無い

むしろそんな勿体ない事考える気も無い


暫くゆやを眺めていたが眠たそうに欠伸をすると自分もそろそろ寝ようかとゆやの額に手を置く


「おやすみ」

優しく髪を掻き撫でるともぞもぞと同じ布団に潜り込む

高い体温に無意識に擦り寄って来るゆやを抱き締めながらほたるも瞳を閉じる



今日は最高に好い夢が見れそうだ…と微笑みながら

    
       END

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ありがちネタ。
でも一度やってみたかった…。


2004.6/20



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