//祝


4月17日。今日は記念すべき私の誕生日だ。ケーキを食べて、皆に祝って貰って、少しだけ大人になった気になれる何とも嬉しい日…。

所がどうだろう?
学校は休日で休み、急なバイト、おまけに天気は雨だ。

此れを最悪と言わずして何と言うのだろう 


「…ツイてないな。」 

バイト帰りのバス停。重たいバックを抱えながら盛大な溜め息を吐く。中には特売で買った野菜やら肉やら‥一人暮らしはこう言う所が大変だ。 

雨で自転車も使え無い。無駄にバス代が掛かる為、ゆやは大変御立腹だった。

「折角の誕生日なのに‥」

―できれば今日、あの人に祝って欲しかった。 

がっくりと気持ちを沈めていると、やがて一台のバスがゆやの前に停車する 

乗り込んで見ると、雨だと言うのに思いの他乗客は少なく、ガランとしていた。
ゆやは一番後ろの席まで行くと腰を下ろし、窓の外を眺めた 


雨は相変わらず降り止む事なく一層激しさを増している。 


ゆらゆらと心地よいバスの揺れに次第に夢の中へと引き込まれて行く。ゆやは夢見心地の良さにすんなりと瞼を閉じた





「ん…」 

『次は××…』と、目的の場所を告げる運転手の声に目を覚ます。
前より一層乗客ょの数は減り、自分以外誰も見当たらない 

「次か…」 

寝ぼけた眼を擦りながら立ち上がろうとするがふと、肩に重みを感じた
肩に掛かる見慣れた金色の髪 

「えっ」 



驚いた。


そこに居たのは他でも無いゆやの彼氏であるほたる唯一人

「な、何で…」


そこに居るのは本当にほたるなのか半ば信じられず、そっと手を伸ばして髪に触れた 

「…本物。」 

髪ふわふわだなーとか寝顔かわいいなとか、おかしな事を考えていると次の停留所が見えて来た。


「あ‥降りなきゃ。」

(もう少し一緒に乗って居たかったな‥) 

寝てしまった事を今更ながら後悔した 。
席を立った瞬間、グラリとバスが大きく揺れた

「きゃっ」 

バランスを崩したゆやは短い叫び声を上げてそのまま椅子に倒れてしまった 

(び‥びっくりした。)

ばくばくと心臓が音をたてている
今度から気をつけようと思いながら立ち上がろうとしたが、なんだか変だ。 


…背中に何か乗っかっている。

「ゆや…以外と大胆だね」

ぽつりと呟かれた言葉に視線を上に上げて見ると、自分の目と鼻の先にほたるの顔が在る 

「おはよ。」 

「ほたっほたるさん!」 

みるみる顔が赤くなる。背中に乗っかって居るのはどうやらほたるの腕らしい 

「あの、私此こで降りなきゃいけないので‥その、…腕を…」 

離して貰えないかと眼で訴える 

「俺もここで降りるから。と言うかゆやに会いに来た。」 

「ええっ!」 

背中に回された腕はゆやの細い腕に移動しその侭手を繋ぐ形に為る。 


ほたるに手を引かれ訳の解らぬ内にバスを後にした

バスを降りた後、ゆやは訳を尋ねようとほたるに話掛けた。 

「ほたるさ…」 

「ゆや、誕生日おめでとう。」 

どうしても今日言いたかったからと穏やかな笑みを浮かべる 
思いがけない言葉にゆやは込み上げて来る嬉しさをとびっきりの笑顔で表現した。 

「ほたるさん…有り難うございますっ。」 


ほたるも嬉しさに気付かれない様、繋ぐ手にほんの少し力を込めた 


「ゆや一人暮らしでしょ?二人(っきり)でお祝いしよ。」 

「はい。」 



4月17日…此の日はゆやにとって今までの人生で一番最高の誕生日となった。 

END


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ホンとは絵も描いたけどBUTタイミングでPCが壊れたため保留・・。
急遽小説を書きました。(阿呆め)


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