好きだから。
「ただいま…。」
「あ、お帰りなさいほたるさん。どこ行ってたんですか?」
朝方ふらっと出ていった男は日も沈みかけた時刻、てくてくとのんびり歩いて帰ってきた。
「またお散歩ですか?」
「あーうん、そう。」
「ふふ…ご飯もうすぐ出来るので待ってて下さい!」
パタパタと忙しそうに用意をしている。
「あれ…狂達は…?」
周りを見ても自分とゆや以外の姿がない。
「…みんな昼まっからお酒を飲みに行っちゃいましたよ。」
はぁっと盛大なため息をつきながら半ば呆れた声で話す。
「だから今日は先にご飯食べちゃいましょう。」
「え…2人だけ…?」
「はい。」
ニコッと笑うと、休めていた手を再び動かす。
「…ちょっと得したかも。」
ぼそっと呟いた顔は無表情だが、ほたるの周りのオーラは明らかにうれしそうだった。
「…ご飯出来るまで暇だな。」
かと言ってする事も無い。
「……暇。」
縁側の柱により掛かる。
「…あれ?」
このまま寝ようかと思った時、不意に厭な空気を感じ取った。
「…。」
見に覚えのある。てゆーかさっきまで話してた…。
きゃあっ
そこでほたるの思考は止まった。
「…。」
僅かに細目を見開いて声の元へかけつける。
「ゆや?」
ガッと戸を開けて中に入ると…、
「げっ。…何で此処に居るの。」
そこでほたるが見たのは…
「ちょっと、放してよ!」
怒りながらバタつく少女と
「何だよ、わざわざ会いに来たってのに冷てえな。」
その少女の上に伸し掛かりながらカラカラと笑う短髪の男の姿だった
「重いでしょっ!どいて」
「どいてやるよ…。やることやっ…。」
…魔王炎…
ってからな。と言った所で、ほたるの技が遊庵めがけて放たれた。(当然ゆやに当たらないように…)
遊庵はゆやを(抱き)抱えて難なく避ける
「危ねぇな。イキナリ何しやがんだほたる!」
「こっちの台詞…。何ゆやに近づいてるの?てゆーか触んないで。」
いきなり現れた事はもとより、未だゆやを(抱き)抱えている事が気に喰わないようだ。それを見てにやっと笑ったのは遊庵だった。
「はっ。やだね。」
べろっと舌を出して挑発する。
(ムカッ)離れて。
ありったけの殺気を遊庵めがけてぶつける。
「やなこった。」
ますます口を歪ませてゆやに抱きつく。
「〜〜っっ放して。//」
二人のやりとりに我慢できなくなり、隙を見て力ずくで遊庵から離れた。
…と思ったら、今度はほたるに抱きつかれた。
「ゆや平気?」
「!!!ほ、ほたるさん//」
「てめっ何やってんだ!」
「におい消し。ゆやに遊庵のにおい着いちゃったから…。」
そう言ってぎゅっと抱きしめる。
「あ、あの…。」
どうしたらよいかわからずそのまま固まってしまった。
「…てめぇ師匠に逆らうのかよ。」
「師匠って誰が?」
(…ど、どーすればいいの。)
緊迫した空気に冷や汗を垂らす
「ゆや、危ないから下がってて。」
ほたるがゆやを解放した
「ええ゛っ!危ないってまさか…」
ここで死合をするつもりじゃ…。
ゆやの思ったとおり2人の間に張り詰めた空気が流れる。
「あああのぉ…ι」
もはやこの2人を止められる者は村正ぐらいだろう。ゆやの目の前でお互い技を繰り出す。
「ちょ、ちょっと2人共!やめてってば、ねぇ!」
「だいたいゆんゆんゆやと10歳以上年が離れてるんだよ。犯罪じゃん…。」
「おめーだって23ってのは外見上だろーが!!」
ガシャンッ
「「「…あ。」」」
遊庵が勢いをつけて殴った拍子に、ほたるが部屋にあった坪らしき物を割ってしまった。
((…やば。))
後ろからの殺気に一瞬硬直する。
「……2人共…」
静かなゆやの声に恐る恐る振り返る。
「ゆや、今のは事故。」
「そ、そうだぜ。気にすんな。」
「…そうね。今のはしょうが無かったわね。でも…。」
「「…ι」」
また何か壊れたら困るからさっさと出てってね。
「「!!」」
にっこりと微笑んでいたが、それが逆に恐ろしく感じた。
「じゃあ、私ご飯作らなきゃいけないので。」
最後にもう一度氷の微笑を浮かべると、奥の部屋に行ってしまった。
「…怒った?」
「…だろうな。」
さっきまでの熱が一気に覚める。
((自業自得。))
今の2人にピッタリの言葉がお互いの頭に浮かんでいた。
その夜、2人は晩御飯にはありつけなかったとか……。
「「……惚れた弱みって奴かな…。」」
_fin_
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雑談の続き?っぽくなりました…。
2人とも自分勝手だけど怒ったゆやには敵わないと言う事で。
は-。今18禁が書きたくてしかたがないです。
当然ゆや×遊庵orほたるでv
…まだまだ駄作の域から抜け出せませんが(汗
2003.9/21