赤い風車


あの時の手の温もりは

今でも覚えている





「…似てるのよね-。」

ぼぉっと頬ずえをつきながら灯はゆやを眺めている。

「何やってんだ灯は?」
「…さあ?」


その様子を不安げに眺める男達。
恐る恐るアキラが近づく…


「灯、さっきから何故ゆやさんを…」
「確かめてみる…か。」

アキラの言葉をまったく無視してゆやに歩み寄る。


「ねえ…ゆやちゃん。」
「?何ですか?」

金色の髪をなびかせながらゆやが振り返る

「ちょ〜っと後ろ向いてくれる?」
「え?こう、ですか?」

首を傾げながら後ろを振り返った瞬間。



ガッ



「「「!!!!!!!!」」」


突然灯がゆやに抱きついた。

「あ、灯さん///!!」
「「「灯!!!!!!」」」

訳がわからず固まる少女と漢共を気にする事無く灯はその金色の髪をまじまじと見つめる

「やっぱそうかしら…」
「??」

顔を真っ赤にするゆやからアキラが無理やり灯を引き剥がして部屋の向こうに連れて行った。

・・・


「灯!!!何考えているんですか!!」
「…ずるい灯ちゃん…」
「何してんだおめえは(汗」


「あたし…さ、あの子と昔会った事あるわっっ!!」

「「「はっっ?!」」


「間違いないわ、あの髪、あの目っ。やんv此れって運命かしらvv」

上機嫌な灯に梵がどうゆう事か説明しろとすかさずつっこみを入れる。

「フフ…いいわよv…そう、あれは確か4年前の秋…。」






     * * * * *


「あ−あ、つまんない。何であたしが買出し係なのよ!アキラにやらせなさいよアキラにっ!!」

10回連続で買出し係を押し付けられ、最近は灯のパシリと化したアキラをさすがに可哀想に思った梵が狂に告げ口をしたのだった…

日も沈みかけた時刻。聞こえるのはからすの鳴き声と川の音…と、何処からかの子供の…声?

こんな時刻にまだ遊んでいるのかと思い、川原を見回してみると背の高い草の間でゆらゆらと動く何かを見つけた。

「?」   

鳥…と思ったが小さな女の子がしゃがみこんでしきりに何かを探しているのが見えた

「何あの子、珍しい髪の色してるわねえ。」

その子供は灯の存在にはまったく気がついていない様で、金色の髪をなびかせながらひたすら何かを探しているようだった…



「…ん?」

草の茂みの間で光る何かが目に止まった。
思わず歩みよってそれを拾い上げてみる。

「風…車?」

見つけたのは粗末な赤い風車

灯は一目で此れだと思った

「ねえ、もしかして此れ探してんの?」

遠くでしゃがみ込む少女に温度のない声で話しかけた。少女は灯の手の中にある赤い風車を見つけると、一目散に駆けてきた。

「お姉ちゃんが見つけてくれたの?」

「…ああ。」

鳶色の瞳を輝かせてうれしそうに笑う

「ありがとう!これね、ゆやの宝物なの。」

くったくのない笑顔を向ける少女。何故かそれが酷くイラついて顔がひきつった。     

「 捜し物が見つかったんならさっさっと帰れば?親が心配してんだろ?」

わざと冷たい態度で返す。

「兄様、今日夜勤なんだもん…。」

少女は少し寂しそうに答えた。

「兄様って、親は?」

「…病気で死んじゃったって言ってた…。」

「…そう。」

少しまずかったかと思ったが、少女はそんな事は気にしていないかの様に話しかけて来た。

「お姉ちゃんは此処に住んでるの?」

「いや、ちょっと買い出しにね…ていうか早く帰ったら?暗くなるわよ?」

そう言って沈みかけている夕日を指さした

「…」

「…何?もしかして帰り道わかんないとか?

「 …ん。」

少女は黙ってうなずいた


別に自分には何の関係も無い事だ。このまま放っておいてもかまわない……けど、何だか放っておけない


「しかたないわね…。ほら、ついて来なさいよ。」

灯は軽くため息を尽きつつ手を指し伸ばした

少女は顔を上げるとぱぁっと花が咲いたように喜んで駆け寄ってきた

(まったく…何であたしがこんなめんどくさい事しなくちゃ行けないのかしら。)

頭をかきながらぶつぶつと文句を言いつつも小さな手を握った




町までの帰り道。少女は風車をカラカラと回しながら楽しそうに話しかけてきた

「お姉ちゃんはどこから来たの?」

「…遠くだよ。」

「ふーん…。一人で?」

「前はね。今は5人でだけど…。」

「そうなんだ!!ゆやも兄様と2人で遠くから来たんだ-。」

兄の事を口にするとますます楽しそうする。
どうしてこんな笑っていられるのかと思うほど

「あんた、ほんと兄貴が好きなんだな。」

何気なく言った一言。

すると子供だからか、あまりに意外な言葉がでた。


「うん!ゆやには兄様だけだもん。兄様が死んじゃったらゆやも死ぬ!」

ふざけてか本気でか、笑顔で少女は答えた

「…そう。」

その答えにそれ以上何も言えず苦笑いを浮かべた

その後も少女は笑顔で話しかけてきた

自分の好きな事

好きな物

そして大好きな人(兄)…


やっと町が見えてきたとき、向こうから人影が走ってくるのが見える。それにいち早く反応したのは少女の方だった

「兄様!!兄様だ!!」

まだ顔もわからない距離だというのに喜んで走り出した

少女の手が灯の手からするりと抜ける

「お姉ちゃん早く!!」

振り返って大きく手を振ると、またぱたばたと走り出した

「ゆや!!家にいないから心配したよ。一体何処へ行ってたんだい?!」

「ごめんなさい兄様!あのね、あのお姉ちゃんが送ってくれたの。」

そう言って指をさした先に、すでに灯の姿はなかった

「あれ…お姉ちゃん?」

何処行っちゃたの。とあたりを見渡す少女の頭に兄はそっと手を置く

「いい人に会えてよかったなゆや。お世話になったんだ、いつか、お礼をしなきゃな。」

そう言いながら少女の頭をなでて優しく笑った

「うん!ゆやまだありがとおって言ってないもんっ!」

・・・


「おう灯!!遅かったじゃねーか。」

「うっさいわねー馬鹿梵!いろいろあっったのよ。いろいろ…。」

「はあ?何だよいろいろって…?」

その問いに灯は温もりの残った片手を握り締めながら笑う…

「ふふ…さーあねー♪」

(???何なんだいったい???)


***  ***


「「「「……」」」

「やっぱりあの時の子はゆやちゃんだったのね!!これってやっぱ運命〜!!」

「まあ以外だよな。灯が人助けをするなんてよ。」

「それによく覚えてたね…。」

「だって…あの子の手、あの時本当に暖かかったもの。」

「手…?」

「今も変わってない無いのねーあの子の純粋さは。」

昔の事を今までに無いくらい懐かしそうに語る灯に驚きつつも、皆灯の言葉に同意する…


本当はもっと繋いでいたかったのかも

だってあんなに優しい温もり…

今まで感じた事無かったもの






「さ−てと!!それじゃ、お礼にキスでも貰って来ましょっ♪」

「「「!!!」」」


いそいそと部屋に戻ろうとした所を他の3人に引き留められたことは言うまでもない


              −fin−
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9日に更新するつもりだったのに一日遅れてしまいましたm(−−)m御免なさい

補足ですけど、灯が子ゆやにイラ付いたのは自分の子供時代よりも遥かに幸せそうに見えたからです。(嫉妬?)
もう何が書きたいのかワカラなくなって来た!!!

文章力が無いのは辛いです…(死

2003・8/10


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