蜘蛛

叶わないと此の想いを棄てるより


お前から奪える全てを奪い尽くせば傷つかないで済むのだろうか





「何時迄そうしてんだ?」

「…。」

返事は無い。

男の声などまるで聞こえてい無いかの様に少女は部屋の中央にたった一つだけ在る小さな窓から外を眺めて居る。
…眺めて居るかは解らないが遊庵と視線を合わせようとはしないのは確かだ。


片隅にある殆ど手をつけられていない膳を横目で見、未だ顔を背けるゆやに視線を移すとふっと呆れた様な溜め息を吐く

「飯位食えよ。その内死ぬぞ?」

「…」

漸く振り返ると嫌悪感を含んだ眼で黙って遊庵を睨み付けた。


未だ光を失わない鳶色の瞳


だがその表情に少女の愛くるしい笑顔は破片も無い。



ひらひらと朱色の布を翻しながら遊庵はゆっくりとゆやに歩み寄った。



初めは興味から。
その内仲間に笑い掛けるその笑顔にも好意を持ち、
だんだんと全てが愛しいと思う様になった。

そして其れと同時に膨らんで行く押さえ様の無い独占欲。
気がつけば自分ではどうする事もできない程心の中に肥大化していた

その衝動に駆られるが侭、連れ去り、此の屋敷に閉じ込めたのはもう一月程前…

その間、彼女が笑う事は一度もなかった



一歩…また一歩とゆやの直ぐ眼の前へと歩み寄った。

顎を捕らえ耳元で囁く。


「いい眼だな…そそられる。」

耳朶を舌で軽くなぞれば食いしばる様にぎゅっと下唇を噛締める

その姿に遊庵は口元を吊上げ、首筋に顔を埋めた。
白く柔らかな肌に昨晩つけた紅い華を更に濃く、咲かせる。


ゆやに抵抗しようという気配は無い。
そんな事をしても無駄だと連れ去られたあの夜、思い知ったからだ。


泣き叫んで逃げ惑って助けを求めた。

だが結局最後は力尽き男のされるが侭となる。
抗っても男を楽しませるだけ…ならば最初から耐えていた方がマシだ…。

毎夜繰り返される行為に嫌でもそう実感させられた

無抵抗のゆやを一瞥しゆっくりと寝台へ押し倒す


恐怖を隠し一度も怯まず自分を睨み付ける瞳が訴える。


身体は奪えても心までは渡さない…と


遊庵はその瞳にふっと自嘲気味の笑みを浮かべこう答えた。

「初めっから解ってんだよ…そんな事。」



蜘蛛と蝶が結ばれる事など有り得ぬ様に始めから叶う筈も無い想い。


羽をもぎ取り一生此の巣へ縫いとめるか…思い出だけで傷を癒し空へと解き放つか…



彼の選んだ選択は唯一つ


心中の痛みと快楽に溺れながら遊庵は求めて止まない少女の身体を心行くまで貪る





羽をもがれた蝶はやがて弱り、力尽きる。




その時は自分も美しい彼女の傍で此の命を終わりにしようか…?


             −END−
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沙耶様、キリ番報告有難う御座いました。
ゆんゆやの鬼畜、愛情、微エロとの事ですが出来たかどうか・・・・。
鬼畜書くのは大好きですが書きたい事が在り過ぎてまとめられないのがオチです(毎回毎回)。

こ、こんな物でも宜しいでしょうか・・・・?
変更等があれば書き直しますので。。


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